Contrast

暗い部屋の隅に一人の少年が座り込んでいた。
先程の事を思い出しては溜息を吐き、時には泣きそうな顔にもなっていた。

少年:嫌われた・・・ううん・・・拒絶されたのかも・・・

年が近いメンバーの中で一番しっかりしていて、何でも出来て・・・優しい女性、『ミリエッタ』に突然距離を置かれ向けられた視線。

少年:施設に居た時も・・・あんな目で見られて・・・誰も相手にしてくれなくなって・・・

思い出せば思い出すほど暗く気持ちは沈んでいく。

そんな時、部屋の入り口が突然開いた。
背の高い女性が部屋に入ってくる。

ティルト:・・・明かりもつけず、そんな隅っこで何をしておる?

長身の女性、ティルトが問いかける。
だがその問いかけに少年は答えない・・・膝を抱え込み顔も伏せてしまった。

ティルトも特に気にせず自分の部屋に戻ろうとする。

少年:・・・こんな時・・・

『ティルトお姉ちゃんがいてくれたら・・・』辛うじて飲み込んだセリフ。
しかし部屋に戻ろうとしたティルトの足は止まり、ゆっくりと少年へ歩んでくる。

ティルト:お前はずっとそうやっていくつもりか?

少年:・・・え?

ティルト:失った者にすがり、蹲って手も足も伸ばさず誰かが運んでくれるまでそこから動かないつもりか?

少年:・・・言ってる意味が、わからない・・・です。

ティルト:待ってるだけの者に幸せは訪れん、手を伸ばさなければ何も手にはいらん。
     仮に手に入ってもすぐに落としてしまうじゃろう?

友達になれるかもしれないという希望が拒絶という回答に変わるのもそのせいなのか・・・

少年:じゃあ・・・どこに手を伸ばせばいいんですか?
   どこに手を伸ばせば・・・お姉ちゃんはかえってくるんですか・・・!?

ティルト:・・・やれやれ、まだそんな事言っておるのか。

ティルトが突然怪しい笑みを浮かべる。

ティルト:お前のだーい好きなお姉ちゃんは妾が殺した、と言えば・・・少しは手を伸ばす方向がわかるかなぁ?

少年:・・・え?

突然のティルトの言葉に考えが追いつかない。

少年:目の前のティルトさんはお姉ちゃんに似てるだけで・・・お姉ちゃんはどこかで・・・あれ・・・?

何が真実か、頭が爆発しそうな時ティルトの右手が少年の首を掴み持ち上げた。

少年:な・・・なにす、るんですか・・・っ

苦悶の顔を浮かべる少年をティルトは笑みを絶やさず答える。

ティルト:お前の大好きな姉の人格が死に妾が生まれた、お前はそれでどうしたい?ん?

少年:そ、んなこと・・・うぅ・・・

必死に答えを探そうにも締め上げられ意識すら危ない。
そんな少年をティルトは床に放り投げる。

ティルト:今のお前なら腕を跳ね除けるくらいの力はあるであろう?何故抵抗もせんのだ?

少年:ハァ・・・ハァ・・・解らないだらけだけ、ど・・・ティルト、さんが・・・お姉ちゃんなら・・・

呼吸を整え、しっかりティルトの目を捉える。

少年:絶対に、傷つけたりしたくない・・・

ティルト:ふん・・・既に心が死んでる者にそのような戯言・・・

少年:関係ないよ・・・今こうして、お姉ちゃんが目の前にいるんだもん・・・

軽く舌打ちティルトは自身の部屋のバルコニーへ向かう。

少年:・・・心って死んじゃうものなの?もう戻ってこないの?

少年の言葉に一瞬ティルトは歩みを止めるが再び歩き出す。

少年:ねぇ・・・ティルトお姉ちゃんー!!

初めて聞く少年の叫びを背に受けティルトはバルコニーから夜空を見上げる。

ティルト:・・・あそこまで言われても・・・お主は起きんのだな・・・

懐より黒く染まったソウルジェムを取り出し呟く。

ティルト:あまり・・・妾にも時間は残されておらんな・・・

ティルトと、部屋ですすり泣く少年を白い獣の赤い瞳は飲み込んでいた。



【中の人より】


  • 最終更新:2015-09-15 01:51:40