A Few Days Ago ~居酒屋で~

(まだ光一のキャラが掴めてないときに、掴むために書いたものです。深い意味はありません)

「姉さん、雪子と仲良くやってるの?」

アークスシップにある、とある居酒屋での店内。
内装はもはや見なくなった古い型のディスプレイや、時代を感じさせるグラスなど古めかしいもので溢れていた。故意かどうかは分からないが、これにより不思議な雰囲気を醸し出している。

その店の壁際、4人がけの席に向い合わせで座る一組の男女がいた。男性は短い黒髪で紫色の目が印象的だった。女性の方も同じく黒髪のポニーテール、ただ目は左右で色が違っており、それぞれ赤と青色をしていた。


「んー、悪くはないわよ。というより仲良いわよ」
姉さん、と呼ばれた女性がほうれん草を箸でつまみ、口に運びながら答える。

「でも、なんか未だに壁を感じるのよね。家族なんだけど」
女性が呟くように言う。
「まあ、仕方ないよね。雪子にとっては、姉さんはそもそもいないものだと思ってたし」
男性の方はメニューを見ながら注文を選んでいるようだ。

「そうかしら、覚えてないものなのかしらね」
「覚えてないんじゃない?僕だって家でる前の姉さんとの思い出ほとんどないし。
 雪子が小さい時に行った、ハコネンの旅行にだって居なかったじゃない」

はっとする女性。
「え、何それ。知らないんだけど」
「うん、確か姉さんは、井伊直ノ進、だっけ?あの人を暗殺に行ってた頃じゃない?」
「ちょっと、長女が仕事してるときに旅行なんてあんまりじゃない?」
「だって姉さんが仕事してないときなんてなかったじゃない」

その時、ちょうど店員がお酒を持ってくる。
「あ、来た来た」
二人はそれを受け取る。
「それじゃ、光一と」
「うん、かすみとの再会を祝して」
同時に
「乾杯」
そう言ってかすみと光一が同時にお酒を煽り、同時に口から離した。

「こっちはどう?」
お酒を飲みながらかすみが聞く。
「うん、アークスってもっと殺伐としてるのかと思ったけど、思ったよりのほほんとしてて良いね」
「そりゃ、うちの家業に比べたらそうじゃない?」
「まあね、でも子供も多いんだね。かなみちゃんとか、シャロンちゃんとか」
「若い子多いのよね。小さいうちから働かなくていいのにね?」
卵焼きをつまみながら光一は言う。
「姉さんが言っても説得力無いじゃない」

「私はいいの。でも、可愛い子多いでしょ」
「あはは、確かにね」
かすみと光一が同じタイミングでひとつの卵焼きに箸を伸ばす。
それに二人同時に 気が付くが、先に光一が箸をそらし、横にあった大根を取る。
「ありがとう」
そう言って、かすみは卵焼きを予定通りに取る。

「イオリちゃんも可愛いでしょ?」
「え、うん。そうだね?」
「でしょ?光一にはああいうタイプが良いわよ。絶対」
「もう、姉さんってば」
困った顔をしながら微笑む光一。
「あ、まんざらでもないって顔でしょ?」
「違うってば、ほら料理冷めちゃうよ」

「そういえば、ティルトさんって姉さんに似てるよね」
「え、そう?ティルトちゃんのが可愛いでしょ?」
店員が新たに持ってきたお酒を飲みながら、かすみは言う。
「いや、そういうところじゃなくて姉さんと一緒で、何でも自分で抱え込んじゃいそうなところとか?」
「私、そんな抱え込んでるかな?」
「抱え込んでるよ、いつも何も言わないじゃない」
「美人は胸に秘密を秘めてるものなの」
「あはは、そういえばアネモネさんもそういう感じな気がするよね」
「分かるわ、でもお兄さんに対しては結構ざっくばらんだけどね」

とめどない会話は続く。

「ジョー・ケネルディ首相暗殺ってどうやったの?」
「銃で頭部をバン!よ?」
「いや、そうじゃなくて、その前があるでしょ?」
「え?うーん、高いビルに登った?」
「だってあれ、警備すごかったんでしょ?」
「あ、それはね。あの時の警備には実は裏があって・・・」
突然ディスプレイの音量が上がり、騒音に近い音量でクーナの声が響き渡る。誰かが間違えてあげてしまったらしい。
すぐに音量は戻された。
「・・・ってわけ」
「そうなんだ、そんな裏があったんだね」

店員が持ってきたホッケの骨を丁寧にとる光一、
それをつまむかすみ。

「コハクさんってうちの家系に居そうだよね」
「あ、分かる!居る居る、五代前ぐらいに居て、琥珀丸って名乗ってそうよね」
「いや、琥珀丸はいたじゃない」
「え、そうだっけ?」
「確かずっと前のほら、龍殺しの伝説のある残鉄丸、の弟の名前が琥珀丸だよ」
「よく覚えてるわね」
「姉さんこそ、本家の、しかも元筆頭なんだから」
「そんな昔のこと忘れたわよ」

「そういえば、なんでゴトウさんには敬語なの?部隊の他の人にはあんまり言わないわよね?」
「うーん、よく分からないけど、使っちゃったんだよね。年上だから?」
上を見ながら光一は答える。
「葉月さんだって年上よ?」
そんな光一を下から覗き込むようにして見るかすみ。
「まぁそうなんだけど、なんかそれよりももっとすごい、
 なんだろう年上オーラ?みたいなの感じちゃった」
「何よそれ」

「ゼルダさんっていつからおネエ言葉なのかな?」
「学生時代は普通のイケメンっぽいわよね」
「すごいモテそうだよね。あれ、そういえば年齢いくつなのか知ってる?」
「え、いくつかしら?」

「そういえばイルマさんとナギさんの年齢も知らないや」
「はあ、私より若いのは確実ね・・・そういえば二人はどんな感じ?」
「ん、まだ会ったばかりだけど、イルマさんは元気な人だね。
 ナギさんは・・・クールというか、静かな感じかな?第一印象だけど。
 なんか年上って感じもするね。あの落ち着き方は」
「あら、女の子にそんなこと言っちゃだめよ」
「あはは、そうだね」

「アデにゃんには会った?」
「うん?まだだよ?」
サラダを姉の分まで小皿にとる光一。
「すごいわよ?」
「何が凄いの?」
「なんでしょう」
小皿を受け取りながら話すかすみ。
「むう、それじゃ分からないよ」
自分の分を小皿にとる光一。
「あはは、剣の腕よ」
「へえ、そんなに?」
「うん、葉月さんもすごいらしいけどね。あの二人、
 それがきっかけで出会ったみたいだし」
「なるほどね、夫婦揃ってって訳だね。
 娘のアリィさんって、実の?」
「まさか」
自分の小皿のサラダが無くなり、大皿のサラダに直接手をつけるかすみ。
「養子らしいわよ」
「そっか、オラクルなら同姓の間に子供を作る方法があるのかと思った」
「あ、あるところにはあるんじゃない?」


「ベルゼさんってあまり話したことないな、どんな人?」
「ロウフル君みたいな人よ?」
「もうそれじゃ分からないじゃない」
「あはは、そうよね。まあ良い男なんだけどね」
「けどがひっかかるじゃない」
「良い子紹介したいんだけどなー」
「姉さん、それはお節介だよ。もう居るかもしれないし」
「そうかしら、まああのロウフル君ですらいるものね」
「あのって・・・もう」
皿を端に寄せながら笑う光一。

「イリアさんって落ち着いてる大人の女性って感じだよね。
 本当に生まれて数年なの?」
「らしいわよ?まあキャストだから・・・でも人によると思うけど」
「姉さんの初恋のキャストはどんな感じだったの?」
「ぶっ・・・は?ちょっと違うわよ。そんな相手いません」
「そうだっけ?まあいっか。チアキさんがいるもんね」
「そうですっ。そういう勘違いするようなこと、チアキに言わないでよ?」
「はいはい」

「チアキさんと結婚するの?」
「するわよ」
「大丈夫?」
「大丈夫よ、私達ラブラブだもの」
「そうじゃなくて、家事できるのって」
「いや、それは・・・今修行中だし」
「洗濯機には、色物と白の服は一緒に入れないんだよ」
「え、いや、今の服は丈夫だから、、、え、ブラも?」
「下着は、ちゃんとネットに入れるの。で、他のとは別に洗濯。もう、よく知らないで生きてこれたね」
「まあ、シワになったら困るようなものは分けてたけど、
 って光一の方こそなんで詳しいのよ」
「普通だよ、それに家事しない姉がいるせいじゃない?」
「あ、あはは、弟に下着の洗濯教わるなんて、なんか自信なくなってきたわ・・・」
がっくり肩を落とすかすみ。
「結婚して大丈夫かしら・・・幻滅されたりしないかしら!?」
光一は笑いながら
「ラブラブなんだから大丈夫じゃない?」
と言った。



お店からの帰り道
「あはは、光一どこ触ってるのよ」
「はいはい、まっすぐ歩いて」
ふらふらするかすみをがっちり抱えるように歩く光一。
「姉さん昔はそんなに酔わなかったよね、お酒弱くなった?」
「昔からそんな強くないわよー?」
「え、だって酔った席から仕事に行ってたでしょ」
「んー・・・それはそれって出来たのよね。
 なんかどんなに酔っててもやる、となったら一気に醒めて集中できたって言うか・・・」
ぐらっとかたむくかすみに抱きついて支える光一。
「あはは!ありがとう、というか久々に弟に会えたのが嬉しくて飲んじゃいました!」
「まったくもう・・・」


光一は千鳥足の姉を休ませるため、公園による。ベンチに座らされ、休むかすみ。

既に夜は深く、辺りには人気はなく、たただ公園に面した道路にはかすみと同じような人が何人もいる。
平和そのものの風景。

ふと、ベンチ脇に咲く花に光一は気が付いた。
光一の星にもある、その花の名前を
光一たちの星では「姉切」と呼んだ。
その可憐さから、ある名家の女性が大事に育てていたところ、
その女性の弟が恋人にせがまれて手に入れようとし、結果誤って姉を殺してしまった、という伝説がある花だった。

「よりによって姉さんと居るときにこの花を見かけるなんて」
光一は困った顔をしつつ微笑んだ。

  • 最終更新:2015-09-13 20:41:19