? Years Ago? ~夢の中のこと~

どこかの家に私は入った。

まるですべての勝手を知っているかのように
靴を脱ぎ、玄関をあがり、私は家の奥へと進む。

庭に面した渡り廊下を歩いていると、一部屋ふすまが開いていることに気付く。

中を覗いてみるとそこには2才ぐらいの子供が布団の中で庭の方を向いて寝ている。

布団と見比べてあまりに小さく見えるその子を、私は知っていた。
起こさないように近付いて膝をつき、右手でその子の頬に触れる。
柔らかな感触が何かを訴えているように思えた。

そして私はそのまま頭を優しく撫でながら何かを話した。

その時だけ音が消えた。まるで世界がサイレント映画にでもなったように、何も聞こえなくなる。
時々口元を動かす、子供。穏やかな寝顔を見ながら、私は唇を動かす。
おそらく話しかけ続けていたのだろう。
けれど私が何を言っているのか、自分でも分からなかった。

そして私は不意に立ち、部屋を出て、ついに家も出た。
なぜか悲しい気持ちになった、気がした。

ふと、隣を見ると、家の門が開いていた。
なぜか私はその門をくぐる・・・

するとその先には王宮の玉座のような部屋があった。
高い天井、黒いカーテンが吊された異質な空間。

何がなんだか分からないまま、私は奥へと進む、すると玉座の後ろの壁には穴が開いている。

その先には、なんと火山のような山々が連なる世界があった。
黒い雲が空を覆い、雷が鳴り響き、まるでこの世の終わりとも思える世界。

そこには巨大なシャルティエちゃんが、火山の噴火口のようなところから
上半身だけ出て立っていた。アークスシップ程の大きさがありそうなそのシャルティエちゃんの元に
何人もの人間が立っていた。真ん中に立っているのは・・・ルークさん?


シャルティエ「あははは!その程度か勇者よ!!やっぱり世界はこのボクのものだね!」
ルーク「くっ・・・まだだ、まだ私は倒れる訳にはいかない・・・!」
アイゼルネ「勇者様!」

アイゼルネちゃんが駆け寄ろうとすると、ルークさんは手でそれを制し、立ち上がる。

シャルティエ「まだ刃向かう気?ボクの力をもう一度、見せてあげるよ!」
シャルティエちゃんの右手が前に突き出され、レーザーのようなものがルークさんに向かって放たれる。
ルークさんは盾を構え、それを防ぐ。しかし、防ぎきった瞬間に盾は砕け散ってしまう。


ルーク「!?まさか・・・聖なる刀工、八角が作りし聖なる盾、フレイが・・・!!!」
シャルティエ「あはははは!どうだい、力の差を思い知ったかい!」

イオリ「ダメです、勇者さまー諦めないでー」
妖精のイオリちゃんが膝をついているルークさんの周りを飛び回って応援している。


ルーク「そうだ・・・私には、まだ力が残っている!!」
立ち上がるルークさん、その彼の頭上には

Garten「ルークよ、諦めるな。光の力は常にお前と共にあるのじゃよ」
Gartenお爺さんが空から見つめていた。

ルークさんは剣を振り上げ、ジャンプする。一筋の光となった彼は、
一直線にシャルティエちゃんの胸へ飛び込んでいく。

シャルティエ「何!?」

そう叫んだシャルティエちゃんがよける暇もなく、彼女の身体を光が貫く。

ルーク「やった・・・遂に魔王を倒したぞ!」

着地したルークさんが、光の剣を掲げ叫ぶ。

シャルティエ「ふふふ、ボクに勝ったから何だって言うの?」

シャルティエちゃんの不気味な笑い声が響く。

シャルティエ「実は・・・ボクは暗黒四天王の一人に過ぎないんだ!」

ルークさん「何…!?」

シャルティエ「さらに言えば暗黒四天王は『九つの深淵』の一人にすぎず、
『九つの深淵』は絶対破壊魔神72柱の一人にしか過ぎないのさ!君達はちっとも勝ってなんか居ないんだ!」

火山の火口に、シャルティエちゃんはあざ笑うかのように叫びながら沈んでいった。


そして火口から浮かびあがる球体。徐々に空へ浮き続けていく。

ルークさん「おそらく、あれが絶対破壊魔神72柱の核だ。だがあれは壊せない・・・」
妖精イオリ「方法はひとつしかありません・・・別次元へ封印するんですー」

聞くやいなや、ルークさんは跳躍し、球体のもとへ飛び乗った。

ルーク「これは私の役目だ。別次元に転送する・・・私と共に」

アイゼルネ「勇者様・・・いえ、ルーク様!私も行きます!!」

アイゼルネちゃんがルークさんの元に跳躍する。しかし、先ほどよりも高く浮かび上がった球体にわずか
届かず、落ちかける。

ルーク「アイゼルネ!!」
ルークさんは手を伸ばし、彼女の手を掴んだ。間一髪、彼女は落下を免れ、そのままルークさんの胸へ飛び込む。、

ルーク「アイゼルネ・・・いいのか?おそらく、私はもうこの世界には・・・」
アイゼルネ「たとえ帰れなくても・・・どこへいようとも、ルーク様の側にいる。そう決めたから・・・」
ルーク「アイゼルネ・・・」
アイゼルネ「ルーク様・・・」
しっかりと抱き合う二人。その二人を見守る仲間達。

やがてルークさんの手のひらにアイゼルネちゃんが添えるように重ね、
二人は、封印の魔法を唱えた。

ルークさん&アイゼルネちゃん「ずんだ餅!」


「なんでずんだ餅!?」

はっと目を覚ます。視界には窓からシップの街並みが見える。
上半身を起こすと、自分がベッドの上にいることを認識した。

「・・・夢、か」

私はやっと今まで見ていたのが夢だったことに気がつく。

「はぁ、なんだか凄い夢だったわ・・・普段からシャルティエちゃんと
 アイゼルネちゃんの会話を聞いているせいかな?」

私はゆっくりとベッドから足をおろし、立ち上がって背伸びをする。

「んんっ・・・そういえば」

ふと気付く。

「なんか最初の方は違う夢を見ていたような・・・
 あとのがあまりにも衝撃的すぎて忘れちゃったかも」

すこし気になる、忘れた夢。
けれどやっぱり思い出せなかった。

「うーん・・・まぁ、いつか思い出すわよね」

私は自分を言い聞かせ、今日の支度を始めた。

  • 最終更新:2015-09-13 20:39:59