未来

「彼」が失踪して、しばらくしたある日のことだった。

ゼルダ・バイデン「うーん 調査対象が見つからないわぁ」
ゼルダ・バイデン「はぁ…ダメだわ 調査対象が見つからない」
ゼルダ・バイデン「引き上げどきね…ハァ」

一人の乙女と、

迅雷「こっちもダメだわ…止めだ、止め」

一人の男が、仕事につまづいていた。

ゼルダ・バイデン「ヤンチャボウズは何を探してたのぉ?」
迅雷「SH区画のヴォルドラゴンを討伐してこい、てさ」
ゼルダ・バイデン「あらん そういう事なのねぇ♪だったら私がお手伝いしたのに♪」
迅雷「んあ、そうだったか…先に言っときゃよかったか…」
ゼルダ・バイデン「ンフフ♪何なら今からお手伝いしましょうかぁ?」
迅雷「んー…だな、できるんなら頼むわ」
ゼルダ・バイデン「おっけぇ♪」

そして、二人はC隊のいつものノリでヴォルドラゴンの討伐に向かうこととなった。
それがある未来を見せるとは知らずに。

ゼルダ・バイデン「ハァハァ…サガさんってばイケボ…」
迅雷「あ、いた」
ゼルダ・バイデン「あらん」
迅雷「おう、どうもだ」
ゼルダ・バイデン「はあい♪」

サガの声に聞き惚れていたゼルダを見つけた迅雷は、早速パーティーを結成。

ゼルダ・バイデン「ウフフ いないよりは役立ってあげる♪」
迅雷「多分楽にはなるだろうな」
ゼルダ・バイデン「まぁ ヴォルドラねぇ♪ちゃちゃっと倒しに行きましょうか」
迅雷「んだな、そうすっか」
ゼルダ・バイデン「ヤンチャボウズはもう出撃準備はできてるのぉ?お薬とか大丈夫?」
迅雷「ん?ああ、大丈夫だな 特別なもんは特に無いし、キャンプで足りる」
ゼルダ・バイデン「そおー?オヤツとか持った?」
迅雷「おやつ?…猫にやる予定の飴なら」

軽く会話を交わしながら、アムドゥスキアへ向かおうとした時であった。

ゼルダ・バイデン「クンクン」
ゼルダ・バイデン「白い羽毛の香りがするわ」

突然。

ゼルダ・バイデン「うわ でかい鳥っ」

…白いラッピーが現れた。さらに、結成したパーティに合流。あっという間の出来事であった。

迅雷「なんか見たことある気するが、まあ、いいか」
ゼルダ・バイデン「ピッピッ♪」
ゼルダ・バイデン「ウフフ 可愛いワァ♪非常食と思って連れて行きましょ」
トリ「…ビィ?」

その上、鳴き声はおよそラッピーとは思えない、多くの死地をくぐり抜けてきた猛者のごとく、深いダミ声だった。

ゼルダ・バイデン「うわ 声ひっくっ」
ゼルダ・バイデン「かなりの年なのかしらぁ」
迅雷「背中にエゴイもん担いでんな…」

更に背中には、双小剣。しかもやや淀んだ気をまとっていた。

ゼルダ・バイデン「あら ラッピー戦士ね」
ゼルダ・バイデン「さぁ 行きましょうか?非常食ちゃん」
迅雷「愛称それかよ…」
ゼルダ・バイデン「じゃあ…えっと」
ゼルダ・バイデン「行きましょうか キチンちゃん」
迅雷「キチン…ま、それでいいか?」
トリ「ビッビッ」
ゼルダ・バイデン「ウフフ♪」
ゼルダ・バイデン「まぁティルトさんに聞かれたら 何かされそうねぇ」
ゼルダ・バイデン「ま、行きましょ♪」
迅雷「…良さげだな、よし、行くか」
ゼルダ・バイデン「さぁ倒しに行きましょ」
ゼルダ・バイデン「汚れ無きまっしろねぇ」

トリ…キチンと名付けられたソレは、純白の羽毛を持っていた。
どこかのラッピー愛好家が見れば、その綺麗さ故にに飛びついていたに違いないであろう。

ゼルダ・バイデン「♪」
ゼルダ・バイデン「広いワァ」
迅雷「んだな、さっきより広いわ」

場所は変わってアムドゥスキア、火山洞窟内。二人と一羽(?)は道中のエネミーを蹴散らしつつ、奥へ進んでいた。

ゼルダ・バイデン「キチンちゃんイイ動きねぇ♪」
トリ「ギッギッ…ギュイ」
ゼルダ・バイデン「ひっく」
迅雷「すげえだみ声だがね…」
ゼルダ・バイデン「変なもの拾いグイしたのかしらねぇ」

実際、キチンの動きは相当なもので、ゼルダ、迅雷共に驚きが隠せないものがあった。
…その驚きの原因が、姿と鳴き声のようなもののせいにあることは敢えて触れないでおく。

迅雷「ん、やっぱ楽だな」
ゼルダ・バイデン「ウフフ♪」

ただ、どこか「彼」を彷彿とさせる、そんな動きであった。

ゼルダ・バイデン「ええ?」
ゼルダ・バイデン「行き止まりだわぁ」
迅雷「んー、いりくんでんな…」
ゼルダ・バイデン「やっかいねぇ」
……
ゼルダ・バイデン「溶岩の滝だわぁ」
ゼルダ・バイデン「行き止まりかしら」
迅雷「んだな、三択全部すかすとはねぇ」
………
ゼルダ・バイデン「あら 細い道ねぇ」
…………
ゼルダ・バイデン「ふぅ 行き止まりね」
ゼルダ・バイデン「デカブツの香りがするワァ」
迅雷「んあ、ようやっと最深部か」
迅雷「さっくりやれればいいんだがねぇ」

道中、三叉路で行き止まりを二度引き当てつつ、ようやく最深部。

トリ「ビッビッ、ギュイ!」
ゼルダ・バイデン「ひっく…」
ゼルダ・バイデン「溶岩呑んだりしたのかしらぁ」
迅雷「…毎回そこに突っ込みいれんのな」
ゼルダ・バイデン「だって…ねぇ♪」
ゼルダ・バイデン「ほら?おくちアーン」

どうにも、鳴き声かもしれない音が気になるゼルダは、思い切ったことに、キチンの口の中を覗こうとした。
すると、

トリ「カァーッ!」
迅雷「!?」
ゼルダ・バイデン「オアアアアアアアア」

嘴を開きけたたましい鳴き声をだして、ゼルダのそれを全力で拒絶した。

ゼルダ・バイデン「め、めっちゃ威嚇されたわ」
迅雷「…さすがに切れたか?」
ゼルダ・バイデン「やる気満々なのねっ」
トリ「ビッビッ カッカ、ギュイ!」
ゼルダ・バイデン「とりあえず 怒ってるのは理解したわっ」
迅雷「ま、んだな」

その怒りを是非ヴォルドラゴンにぶつけて頂こう、そう思った迅雷は即座にテレポーターを起動した。

数分後。

ゼルダ・バイデン「おつかれさまぁ♪」

そこにはボコボコにのされたヴォルドラゴンと、それに下敷きになった迅雷がいた。
キチンの怒りは既に落ち着いたようで、さっきのような様子は見られなかった。

ゼルダ・バイデン「あら ヤンチャボウズちゃん大丈夫?」
ゼルダ・バイデン「めっちゃ下敷きになったわね」
迅雷「んあ、油断した」
迅雷「しっかし、ほんとにあっという間だったな…」

んじゃま、帰還すっか、迅雷がそう思った時であった。

ゼルダ・バイデン「あら」

本来存在しないであろう、2つ目のテレポーターがそこにはあった。

迅雷「うお、別ゲートってやつか」
トリ「ギアッ?カッカッ! ギュイギュイ!」
ゼルダ・バイデン「あらぁ キチンちゃんが警戒してるわぁ」
ゼルダ・バイデン「行きましょうか」

キチンが警戒する中、二人と一羽(?)は2つ目の、未知のテレポーターへ進んだ。

ゼルダ・バイデン「ここは…」
ゼルダ・バイデン「綺麗な場所ねぇ」

行き先は、荒廃した市街地のようで、浮遊大陸のようにも見える場所だった。
所謂パラレルエリア、である。

迅雷「自然と人工混じってんな…」
ゼルダ・バイデン「しかも空中みたいよぉ?変な場所ねぇ」
ゼルダ・バイデン「うわぁ…高い」
ゼルダ・バイデン「まるで天国みたい」
迅雷「雲の上か…」
ゼルダ・バイデン「もしかして…ヤンチャちゃん 下敷きになったときすでに…」
迅雷「まじか」

ゼルダが洒落にならない冗談を迅雷に言っていたそのとき、

トリ「ガガッ!ギュイギュイ!ビビビー!」
ゼルダ・バイデン「ああああ」
迅雷「あっ」

この世のものとは思えない鳴き声を発しながらキチンは小島のほうに飛んでいってしまった。

ゼルダ・バイデン「あー…飛んで行っちゃった」
ゼルダ・バイデン「怖かったのかしらぁ?」
迅雷「飛べたんか、あれ」
ゼルダ・バイデン「トリだし」

二人がその様に唖然としている最中、

コハク「ふう、なんかよくわかんねぇとこに出たなァ」

ゼルダ・バイデン「あ、あら?」
コハク「ん?ゼルダにジンライじゃねぇか、なにしてんだこんなとこで」
迅雷「おう、どうもだ」

失踪しているはずの「彼」――コハクが現れた。

ゼルダ・バイデン「え?あ?え?」
コハク「どうしたゼルダ、俺の顔になんかついてるか?」
ゼルダ・バイデン「こ、コハクさんじゃないの…えっと…」
ゼルダ・バイデン「い、いや えっとぉ」
ゼルダ・バイデン「クンクン」
迅雷「…んあ?あー…「ずれた」か」
コハク「き、気色のわりぃことすんじゃねぇよ!」
ゼルダ・バイデン「あ、ああん」

目の前の出来事に動揺するゼルダと、何か思い当たる節のある迅雷。

ゼルダ・バイデン「ずれたぁ?」
コハク「なんだなんだ、話がつかめねぇぞ?」
迅雷「まれによくあんだよな、そういうこと」
コハク「お、おう…」
ゼルダ・バイデン「そ、そうなの?」

どうやら、コハクもコハクで現状が理解できていないようである。

ゼルダ・バイデン「コハクさん 元気そうでなによりよぉ」

ひとまず、ゼルダの挨拶によって、場は落ち着きを取り戻した。

コハク「…まぁよくわかんねぇけど、ここがおかしいってのは確かみてぇだなァ」
ゼルダ・バイデン「そ、そうねぇ」
ゼルダ・バイデン「床とかピカピカ…」
迅雷「んだな、ビルが雲の上だかんな」
ゼルダ・バイデン「まぁとりあえず…色々おかしいのかもしれないわねぇ…」
コハク「市街地にも見えるが…まぁとにかく進まねぇか?」
ゼルダ・バイデン「ん…そうしましょうか」
迅雷「んだな、先いかんとならんし、行くか」

コハク「おう、ようやっと見せられるな“克服”した俺の冥桜、見せてやるぜェ!」
三人が向かった先には、大量の希少エネミーの群れ。しかし、「彼」のいる今、そんなものは相手ではなかった。
みるみるうちにエネミーの数は減っていき、しばらくした後には、三人以外の姿はそこから消え失せていた。

ゼルダ・バイデン「いやぁ 急に狭い場所にあんなに…驚いちゃった」
迅雷「噂通りだな、コハク、あんたん腕っ節、マジで半端ないわ…」
ゼルダ・バイデン「ウフフ そうね♪デカブツもすぐにオダブツだったわぁ」
コハク「なんだ、何度かみてるだろ? 急にどうしたんだジンライ」
ゼルダ・バイデン「え?」
迅雷「ん、何度か?」
コハク「ま、褒められるのに悪い気はしねぇんだけどよ」
迅雷「んあー…そうか、んだったな」
ゼルダ・バイデン「ふむぅ…」

この時の迅雷には、コハクと共闘した記憶はない。確かな「ずれ」を感じたが、今は伏せておくことにした。

ゼルダ・バイデン「コハクさん♪大事な人はお元気?」
コハク「んー?なんだ藪から棒に、今日のゼルダはなんか変だぜ?」
ゼルダ・バイデン「え?そうかしらぁ♪」

コハクは怪訝そうな顔をしていた。そこで、迅雷はゼルダに耳打ちした。

迅雷「ゼルダ、多分このコハクは「もうちょい先」のコハクだわ」
ゼルダ・バイデン「え、えぇ…」
ゼルダ・バイデン「まぁ大怪我もしていないようだし…それは安心かしらねぇ」

コハク「二人で内緒話か? なんだ、俺に聞かれちゃまずい話ってかァ?」
迅雷「んにゃ、んなことはないな」
迅雷「ただ、あいも変わらず強えな、ってね」
コハク「褒めたってなんもでねぇよ」
迅雷「わあってる、いつもん事だよ」
ゼルダ・バイデン「ウフフ…♪oO(うーん 何か聞きだすべきかしら…)」
ゼルダ・バイデン「シッポの調子はどお?」
コハク「尻尾? 力のこと聞いてんなら、今んとこは安定してんぜ」
ゼルダ・バイデン「そっか よかった…♪」
迅雷oO(どうすっかね…こん先のコハクが無事っつうことだけは分かったからよし、かね)

その後、周辺を調査し、ある程度データが集まった所で、帰還することとなった。
コハクは、「別の仕事がある」と言って別れてしまった。

ゼルダ・バイデン「あら トリちゃん」
ゼルダ・バイデン「先に戻ってたのねぇ」
トリ「ビッビッ!」
迅雷「ん、いつんまに」
ゼルダ・バイデン「キチンちゃんだった」
トリ「ギュイ」
ゼルダ・バイデン「お、おう」

シップに帰還すると、どこかに飛び去ったキチンの姿が。

迅雷「軽く蒸しあがってないよな…?」
ゼルダ・バイデン「美味しそうねぇ ヘルシーで」
ゼルダ・バイデン「戻りましょ」
迅雷「おう、そうすっか」
ゼルダ・バイデン「今日はいい事がわかったし」
迅雷「だな」
ゼルダ・バイデン「じゃあね キチンちゃん」
トリ「ギュイギュイ」
ゼルダ・バイデン「ちゃんと巣穴に戻るのよ?」
迅雷「巣穴…?ま、いいか」
迅雷「んじゃな」
トリ「ビビッ! ギュギュ!」
ゼルダ・バイデン「お手伝いありがとうねぇ」
ゼルダ・バイデン「ふー」
迅雷「なんだかんだで助けられたな」
ゼルダ・バイデン「そうね」

キチンを見送り、本来の目的であったオーダーの報告を終えて。

ゼルダ・バイデン「これは皆に言っていいことなのかしらねぇ」

コハクは無事だった。この事実を皆に伝えるべきか、ゼルダは考えていた。

迅雷「んー、知らせっとまた「ずれる」かもだしなあ」
ゼルダ・バイデン「ずれるというより…変わる みたいな?」
迅雷「だな、現状維持でいいんじゃないかね」
ゼルダ・バイデン「そっかぁ…」
迅雷「今んまま行けばこうなるらしいかんな」
ゼルダ・バイデン「それもそうね…」

納得はしたが、やはり現在の状況を考えれば、未来の無事を伝えたいのだろう。

ゼルダ・バイデン「ああん…でも心配してる子には教えたいわぁ」
ゼルダ・バイデン「ハッ」

その結果、回線がC隊向けになっていることに気づかずに一言が出てしまった…

【あとがきゃ】


  • 最終更新:2015-09-14 01:01:36