崩壊の鐘

リルティア:おーい!てぃ~ると~ん!!
朝からハイテンションで名前を呼ばれる
声の主は私の一番のお友達、リルティア
ティル・リルで呼び合う仲なんだけど・・・テンションの高い時は変な呼び方をしてくる彼女
何か面白い事でもあったのかな?

ティルト:朝から元気ね・・・何かあったの?
リルティア:さっき聞いたんだけどね?今日特別に新しいフォトンウェポンの実施トレーニングがあるんだってさ♪
ティルト:新しい・・・フォトンウェポン?
リルティア:そそ♪なんでもフォトン出力のリミッターの上限を伸ばした?今まで以上にすんごい出力?みたいな♪

・・・またグレーな・・・ほぼブラックな域な実験・・・

この施設は稀にこういう実験をする。
前回もフォトンランチャーのエネルギー拡散実験で怪我人が出る危ない事をやっている

リルティア:年長ペアの私達が実践候補者にあがってるんだけど・・・どうするてぃるるん?

・・・すごく嫌な予感がする・・・
辞退するべきなのか・・・そもそも中止を提案するべきなんだろうか・・・

リルティア:ん~・・・ティルってば今日は調子悪い?危ない日?

ティルト:ち、違うけど・・・そうじゃなくて、さ・・・
やめとこう?そう言いかけた時
リルティア:じゃ、私に任せてよ♪ババーンとすっごい成果だしてきちゃうからさ!
ティルト:え・・・?い、いや・・・そうじゃなくてね?
リルティア:接近戦じゃーティルに敵わないけどこの新しいウェポン使いこなしちゃったら念願の初白星かもよ?
ティルト:ね、ねぇ、リル話をきいて?そもそもその実験は・・・
リルティア:まーまー大丈夫!ダイッジョーッブ♪私ってばフォトンのコントロールにだいぶ磨きかかってきたし?さらに一つ壁を越えたかんじなのよん♪

いつものように勢いで押し込まれる・・・ハッキリ言わなくちゃ・・・

リルティア:だから、ね?ティルはゆっくり休んでなさいな♪私は大丈夫だからさっ☆

・・・あれ?私、もしかして・・・庇われてる・・・?
そんな事考えていたらリルはもう既に部屋の入り口から駆け足で出て行こうとしていた

リルティア:後で吠え面かくなよ~・・・・!!

それ今言う場面なの?って・・・そうじゃなくて・・・追いかけなきゃ!!

ハミュー:ティルト、お姉ちゃん・・・・?

入れ違いに部屋に入って来た少年・・・ハミュー君
まだ施設にきて1年でなかなか周りに溶け込めてないちょっとシャイな少年

ティルト:えっと・・・ど、どうしたのかな?
焦りから話し方も雑になってしまう
急いでるからまた後でね、これが言えない・・・
いつもリルに勢いで押し切られるのも私がハッキリ自分の意思を口にするのが苦手なためだ。

ハミュー:あ・・・忙しい時にごめんなさい・・・その、誕生日、おめでとうって・・・

ティルト:誕生・・日・・・?

そういえば・・・今日は私の18歳の誕生日だった
この施設にきてから充実した毎日が送れてるせいか時間の経つ感覚が早い
いつも1ヶ月くらい過ぎてから思い出し、リルにちゃんと祝わせろー!!と怒られていた

ティルト:そっか・・・覚えててくれてたんだね?ありがとう

お祝いされたことが素直に嬉しく思わず優しい笑顔になってしまう

ハミュー:えへへ・・・あっ、プレゼントお部屋に忘れてきちゃった・・・
ハミュー君が嬉しそうな笑顔から一転泣きそうな顔にかわる

ハミュー:す、すぐとってくるから待ってて!!ティルトお姉ちゃん!!

リルに負けないくらいの勢いで部屋から出て行く姿を苦笑いで見送る
・・・そうだ、リルだ・・・

追いかけなきゃいけないのに何を呑気にお祝いに頬を緩めてたんだと自分を責める
急いで実践が行われる部屋へ向かわなきゃ・・・!

施設の通路を走りぬけ普段は使用されないエレベーターより地下の特殊訓練ルームに向かう

エレベーターの扉が開き、白い大きな扉を開け・・・その光景はティルトの目に映し出された


様々な装置を装着され、動かなくなったリルティア
それを見ながら談笑している白衣の大人達
リルティアの事など気にもせずデータを取っている研究員

今までの・・・さっきまでの日常とあまりにも違うこの光景に理解が追いつかない
心臓の音が煩く聴覚を支配する

自身の活動が停止してるような感覚の中不意に肩を叩かれる

白衣の男:お友達はね、フォトンの出力に生命力が追いつかなかったんだよ

突然後ろに・・・いや、最初から後ろにいた白衣の男がティルトに話しかける

白衣の男:でも・・・君なら大丈夫、君ならあの兵器もつかいこなせるだろう・・・お友達の死を無駄にしないよう次は君が頑張るんだよ?

お友達の・・・死・・・?この人は何を言ってるんだろう?
さっきまで元気にはしゃいでたリルが・・リルが・・・死ぬわけなイじゃナい・・・

・・・リルが・・・リルガ・・・

全 部 私 の せ い だ

全てを理解した時、声にならない叫びが施設にこだまする
生まれて初めてフォトンをコントロールする事を放棄し、感情のまま自分の全てを叫びと共に開放した

その解き放たれたフォトンに呼応するかのように地下にあった【何か】が反応し大爆発が起こった
その【何か】は次々に誘爆し施設全体が炎に包まれた

人の悲鳴・・・むせ返る血の匂いにティルトは我に返る

自身が犯した事に再び頭が真っ白になりそうになる

上の階から聞こえる悲鳴・・・ハミュー君・・・あのこを守らなきゃ・・・
辛うじて自身の次の行動を描き崩れた天井から上の階へ移動する

自分の部屋に繋がる通路を走り部屋に戻った時・・・天井の下敷きになってるハミューを目にする
赤い水溜りの中、ハミューの右手には白い花で作られた髪飾りが握られていた

ティルト:さっきまでみんな笑顔で話してたのに・・・なんでこんな事に・・・

目の前の現実を振り払うようにその場から無我夢中で逃げ出す

その後施設の近くの工場の荷物に身を潜め荷物と一緒に惑星リリーパに輸送された
目の前に広がる一面の砂漠・・・そこから彼女は何も覚えていない
生きる意志を失い、変わらぬ景色の中をただ歩く、彼女の時間はそこで止まってしまった

  • 最終更新:2015-09-15 00:18:10