ロウフルst4 仲間のために

それは、部屋で筐体ゲームで遊んでいる時だった・・・

「あ・・・」

部隊の通信機越しにレアの声が聞こえた。

「ん?どうしたレア?」

あまりに素っ頓狂な声だったため思わず声をかけた。嫌な予感がする、何事も無ければいいが

しかし、悪い予感というものはよく当たるものだ、
そうあって欲しくないと思っていたらなおさら・・・

「変な…場所に飛ばされた…」

「おいおい大丈夫だろうなーそれ」

俺はいつもの調子でこういった、本当に大丈夫であって欲しいと祈りながら、しかし・・・

「怖い場所・・・それに…誰も…入れないと思う…」

それを聞いた瞬間、背筋が凍りついた。

この前も、もふがダーカーの巣に攫われたまま行方不明になっている

まさか、レアもどこかに行ってしまうのではないか・・・

「・・・・クソッ、またかよ!」

そう、まただ・・・俺は仲間を救うと誓った、それなのに二回も仲間のピンチに駆けつけられずにいる

今できることといえば、通信機を使って彼女の心が折れないように励ますことだけだった・・・

しかし、状況はどんどん悪化していく

「メイト・・・もう…なくなっちゃいそう。」

「レア、最後まで諦めるなよ、絶対に生きて戻ってこいよ!」

傷だらけになっていく彼女に俺の激励は届かず、次第に弱気になっていく・・・

「ここで倒れたら、どうなるんだろ…もふちゃんみたいになるの…?」

「おいそんなことは考えるな、それより今は脱出することを考えてくれ!」

頼む、無事に帰ってきてくれと部屋でひたすら祈り続けた、しかし・・・現実は甘くはないものだ

「一人じゃやっぱり…だめかも…っ」

「最後まで諦めるなレア!」

「ごめ…やっぱり駄目」

「おい!レア!しっかりしろ!おい!」

それ以降通信機からは何も聞こえなくなった。
またか、俺は・・・また仲間を・・・いやまだだ、今から行けばまだ間に合うかもしれない。

俺は急いでレアの乗ったキャンプシップの航行記録を調べた。
どうやら最近発見された砂漠の採掘所で行方がわからなくなったようだ
そこにいけば、なにか手がかりがあるかもしれない・・・
そう思い、俺は全速力でその場所に向かった。


・・・



俺はずっと採掘所探し回っていた、どれぐらい時間が経ったのかは既にわからない

身体はもう限界に近い、しかし立ち止まるわけにはいかないと自身に言い聞かせ探し続けていた。

「こんにちはー」

そんな時、通信機から聞き慣れた声がした、どうやらお嬢もアークスの活動を開始したらしい

「・・・おう、こんにちわだ」

「あら、なんだか元気がないのですね」

「あぁ、今度はレアが行方不明になった・・・」

「えっ!?ま、またダーカーに誘拐されたのですか?」

「いや、通信は通じてたからそうじゃない
 どうも帰還するのときに変なとこに送られたらしい・・・」

「転送ミス、でしょうか・・・じゃあ、どこで消息を絶ったのかも?」

「わからん・・・だが、手がかりはある・・・
 あいつが・・・直前に受けてた依頼はヴァーダー・ソーマの・・・討、伐・・・にん・・・」

手がかりを説明しようとしたとき、不意に身体から力が抜け砂の上に倒れる
情けない、この程度で身体がついてこなくなるとは・・・

「どうしたのですかっ? ロウフルさん!?」

通信機からはお嬢の心配そうな声が聞こえる、
そうだ、俺がレアを助けにいかないとお嬢も悲しむ

「・・・こんなとこでくたばってる場合じゃねぇてのに!」

そして気合を入れ直し立ち上がる、まだ身体はいうことを聞いてくれるようだ。

「・・・よかった、無事だったのですね」

「なんとかな・・・俺はもう少し探索を続けるよ」

そして俺は再び歩き出す、宛はほとんどないようなものだが動かなければ・・・


・・・・・・


その後、お嬢が捜索に合流してくれた、これでもっと手がかりを探すことができる。

「どこだ・・・どこにいる」

身体がすこし重い、しかし音はあげまいと必死に探し続ける

「・・・・・」

そんな俺の姿を見てお嬢は足を止めた、一体何事だ、今は時間が惜しいというのに

なぜ止まったのか問い詰めようとしたが、その前に彼女は口を開いた

「ロウフルさん、学習しないのですね、
 何度言ってもわからないみたいなので、はっきりと言います」

「一体何を・・・」

「あなた一人でできることなど、ほとんどありません。
 行動力があるのはいいことですけど、無謀であることは仲間を殺します。
 あなたの軽率な行動で、何人もの仲間が死ぬことになるかもしれないのですよ?
 見殺しにしろと言うつもりはありません、けれど一度頭を冷やしてから行動するべきです
 あなたの行動は、仲間を危険にさらすことしかしません、肝に銘じなさい」

たしかに個人の力はたかが知れている、現に今もまだ成果を挙げられていない・・・でも

「でも、じっとしてるわけにもいかねぇだろ!
 行動しなければ助けられるものも助けられないのも事実だ!」

今はレアを探すために行動すべきだと彼女に言った、しかし彼女の反論は止まらない。

「仲間を大切に思うあなたの態度には好感が持てますけど
 今のロウフルさんは感情的に行動しすぎています、するべき行動が違うでしょう?」
 
「・・・俺にできるのは、こうやって動くことぐらいだ、それ以外に、何をしろっていうんだ
 いまならまだ手がかりがつかめるかもしれない、だからこうやって動いている!
 それにまだレアが飛ばされた場所にいけるかもしれない、まだ間に合うしれない、だから!」

「ロウフルさん!」

しかし、この続きを言う前に、お嬢に発言を遮られてしまう。

「・・・あなたの目は、一体何メートル先まで見ますか?障害物の向こう側も見えますか?
 それに、一人の力でできることなんて本当に小さなものでしょう?」

「たしかにそうだが!」

「やるな、とは言いません・・・ですが、ほかの方法は、考えなかったのですか?
 チームの仲間がくるのを待ちきれないなら、
 そこら中にいる、見ず知らずのアークスだっていいじゃないですか
 初めて顔をあわせる相手を頼っていけないなんてことはありません
 どうして、一人で出てしまうのですか?
 それがどれほど危険なことなのか、どうしてわからないのですか?」

たしかに危険だが、それでも動かなければはじまらない
そう反論をしようとしたが、イオリの目に涙が浮かんでいるのを見て固まってしまう

「あなたは今、ただでさえ身体に危険なものを抱えているのですよ?
 仮にレアさんのいるところまで行けたとして、
 そこで体調が急変したら・・・どうするんですか」

途中から嗚咽が混じりはじめる、女性を泣かせてしまうとは、俺は最低な野郎だ・・・
そして彼女は涙をこらえながらさらに話すイオリの姿に、俺は思わず顔を背けてしまった。

「仲間が行方不明になったとき、あなたがいてもたってもいられなくなったのと同じように・・・
 あなたが行方不明になったとき、仲間たちがどんな気持ちになるのか考えたことはありますか?
 もうあなたの身体は、あなただけのものなんかじゃありません、
 勝手なことをされては困ります!
 ・・・・・・私が言いたいのは、それだけです」

そして目に溜まった涙をハンカチで拭き、こちらに向き直る、俺の返答を聞くために

「・・・勝手なこと、か」

たしかにイオリが言ったことも一理ある・・・だが

「・・・悪いが、それだけは譲れない。
 仲間が犠牲になって、俺だけ生き残るのはもう味わいたくないからな」

「・・・自分勝手ですね、あなたは
 自分が仲間を失う痛みに耐えられないから、仲間にその痛みを押し付けるのですか?」

「あぁそうさ、俺は自分勝手な人間だ・・・」

俺は自分勝手で最低な人間だ・・・
他人を泣かせてまで自分の譲れない一線を主張してしまうほどに

「・・・私だって、失いたくなんてありませんよ」

「それはわかるさ、誰だって仲間は失いたくないからな・・・」

「いいえ、わかっていません、わかっていたら
 自分を失ったあとの仲間の気持ちを考えないなんてことはありません
 仲間を思いやるって、そういうことじゃないですか・・・」

その言葉に、俺は何も返すことが出来なくなった・・・

「例え命が助かったって、自分のせいで大事な人が命を失うのですよ?
 どれほどの罪悪感に苛まれるか・・・
 人を助ける、って、命を救えばいいのではないのですよ?
 命と一緒に心を救わなければ、全く無意味なものなのですよ!
 あなたがしようとしてるのは、そういうことです!」

俺はあの時仲間を失った、そして今はもう完全に割り切ったつもりだった
だが・・・俺はまだ、過去に囚われているのかもしれない
そう思ったとき、さっきまで頭に残っていた熱はすっかり冷めてくれた

「レアさんのことも、もふさんのことも大切だと、思ってるんでしょう?彼女たちを助けたいと思うでしょう?」

「当たり前だ!」

そう、それは絶対にやり遂げなくてはいけないことだ、絶対に・・・

「なら、あなたがやらなければいけないことは決まっています
 彼女たちを救い出すのはもちろんのこと、あなた自身が、無事であること
 絶対に、どちらを欠かしてもいけません、両方を、必ず達成すること
 そうでしょう?」

「・・・そうだな、だが、俺が犠牲になることで助かるって状況だったら、俺は迷わず犠牲になる
 でないと、俺は自分を許せなくなる」

「そんな状況はありません、助けた上で自分も無事である方法を
 あなたは見つけられていないだけです、簡単に諦めすぎです。」

たしかにそれが一番最良の結末だ、そうなったらどれだけうれしいことか・・・

「簡単に、命だけ助けられそうな方法を見つけたから、それに飛びつくだけ・・・
 それはこれ以上考えるのがつらいから、簡単に答えを出しただけです
 もっと考えなさい、苦しみなさい、そして命と心を一緒に助ける方法を、見つけてください・・・
 その方法を見つけるのが、少しくらい遅くなったって、いいんです
 少しくらい、苦しい時間が伸びたって、いいんです
 不幸な結末を迎えるより、ずっと・・・」

「・・・ハァ、たしかにそうだな、でも俺は考えることが苦手だ。
 それこそ何も考えずに最良と思った答えにすぐにとびつくぐらいに・・・」

「・・・私だって、本当にいい方法かなんてわかりませんよ
 でも、苦手だからってやらなかったら、いつまでたってもできるようになんてならないじゃないですか
 だから、答えを出す前に、一度だけ立ち止まってみるようにしてください」

「立ち止まる、か・・・」

「ええ、そうです。ロウフルさんに、一番足りないことです。
 立ち止まらないことが、一番早いとは限らないのですから
 むしろ、一度立ち止まったほうが、早くゴールにたどり着くことが多いくらいです
 急がばまわれ、って言いますから」

「・・・そういうもんなのかねぇ」

「あなたにとっては、立ち止まって考える時間が惜しく感じるのでしょうけど
 私から見たら、考えずに動きまわってしまう時間のほうが惜しいです
 もっといい方法があるかもしれないのに・・・
 もっとずっと安全に、確実に助ける方法があるかもしれないのに・・・
 それができないというなら、仲間を助ける資格などありません」

「・・・立ち止まる努力か、まぁ少しずつやるだけやってみるか」

「・・・そう」

この一言で納得したのか、涙目になりながらこちらに微笑む
あぁ、やはりイオリには敵わないな・・・
この前もふがダーカーに攫われそうになったときも止めてくれた
間違った道を歩こうとしたら、正しい方向へと引っ張ってくれる

「さて、長いお説教になっちゃいましたねー」

「まぁ、おかげで少し頭が冷やせたよ・・・」

「それならよかったですー
 では、レアさんを探しにいきましょうかー」

「・・・・あぁ、行くか」

そして俺達はレアの手がかりを探すため、さらに奥へと進んでいった・・・


・・・・・


「・・・・手がかりになりそうなものはない・・か」

「まあ、そう簡単には見つからないでしょうねー」

「これはしばらく根気よくさがす必要がありそうだな・・・とりあえず一旦帰るか」

「ええ」

あれからさらに探索を続け、最深部まで行ったが手がかりになるものは残されていなかった

今回の探索はここで切り上げ、キャンプシップに帰った時だった・・・

「あ、あれ・・・」

突然身体から力が抜け尻餅を付く、起き上がろうにも身体はいうことを聞かない
どうやら、気力だけで動いていたツケが今になってきたようだ

「・・・・ハァ、だめだ、あれからずっと探しっぱなしで身体が」

「過労で倒れる前にお説教できてよかったですー」

「・・・あぁ、たしかにそうだな、多分あそこで説教がなかったら今頃は砂の中だ」

「要救助者が一人増えてましたねー、迷惑な話ですー」

たしかに仲間を助けに行ったはずが助けられるというのは情けない話だ
しかもそれをこの前やってしまっている、そのときの恥ずかしさは結構なものだ

「ハハッ、たしかにそうなってたら面倒だったよな・・・」

そんな笑い話をした後、俺は意を決してイオリのほうに体を向けて話した

「・・・・・俺は、あんまり学ばない人間だ、

 だから多分またおんなじ様なことが起こったら、またすぐに突っ込んでいく」 
 もしそうなったら・・・とりあえず今回みたいに説教してくれ
 でないと、ずっと突っ走っていっちまうだろうからな」

俺一人だとすぐに突っ走って行ってしまう、仲間が大変なことになっているならなおさらだ
だからこそ俺はイオリに頼んだ、2度も俺を引き止めてくれた彼女に・・・

「・・・そう」

その後、彼女はいつもの調子でこう言った

「じゃあ次は物理的にお説教ですねー」

「物理・・・的?」

物理的という響きですでに嫌な予感しかしない・・・

「あんまり何度も続くと、お説教(ナメギド)にランクアップしちゃうかもですけどー」

「そいつは勘弁だ!そんなもんくらったら骨ものこらねぇぞ!」

イオリのテクニックを何度もみたりした自分だからこそわかる
あのナ・メギドを打たれたらそれこそ木っ端微塵になるだろう・・・

「・・・あなたが同じ過ちを犯したときには、正してあげますから
 できる限りの努力はしてみてください」

そしてさっきとは打って変わって真剣な面持ちでそう答えてくれた
どうやら了承してくれたようだ

「・・・ハハッ、それはありがたい話だ」

そして俺は疲れた身体に鞭をうち立ち上がる
過ちを正してくれるといってくれた彼女にお礼を言うために

「お嬢・・・いや、イオリ」

「はい?」

「今回は本当に世話になった・・・ありがとう」

そして俺は頭を下げる
そういえばこの隊の誰かにここまで頭を下げるなんて初めてなのかもしれない・・・

「いいえ、いいんですよー、私は先輩で、あなたは後輩なのですからねー」

「あぁ、たしかにそっちのほうが先輩さんだもんなー」

「少しだけですけどねー、おまけにクラスランクはいつの間にか抜かされちゃいましたしー」

「男子は3日会わなかったらどこか変わってるっていうしな」

「ほぼ毎日会ってるはずなんですけどねー」

「たしかになー、でもまぁ俺は成長が早いからな!」

「チームのほかの先輩たちもびっくりしてますもんねー」

「ハハハ、これからもどんどん驚かせてやるぜ!」

そういって笑い飛ばす、平常運転に戻れるぐらいまで落ち着けたようだ

「さて・・・そろそろもどるか」

「そうですねー」

そして俺達はキャンプシップへと戻る・・・


たしかに、イオリが言ってくれたことはもっともだ・・・でも
それでも、これだけは譲れない・・・それが俺の本質だから・・・
仲間を失いたくない、助けたいから行動をする俺の・・・


【中の人より】


  • 最終更新:2015-09-15 23:49:10