ナゴミex「言えなかったこと」

「機械の体なんてきもちわりー!」
「こいつは人間じゃなくてロボだよロボ!」
「あっちいけよあっち!」

 ちがうもん。

「うわ、動くとウイーンウイーンって音してる!」
「ほらしゃべってみろよ、『ワタシノナマエハ、ナゴミデス』って」
「ぎゃははははは!」

 あたしだって。
 あたしだって好きでこんな体になったんじゃないもん!





「なんでママとパパはあたしをこんな体にしたのよっ! こんなんだったら死んだほうがマシだったのにっ!」

 あのときの二人の顔は忘れられない。



 自分の手のひらを眺めてみる。
 グーにしようと思えばかんたんに動くし、もちろんチョキやパーだってかんたん。
 ものをつかむことだってできる。

「なによ、ほかの人とちょっとちがうだけじゃない……」

 自分に言い聞かせるようにつぶやいてみても。
 心の奥にこびりついたみたいに、イヤな感じが消えない。



「あははは・・・気持ち悪いよね・・・」

 さっきのハミュー。
 背中からなんかタコみたいなのがにょろんって出てきて、急に攻撃してきた。
 ダークファルスを、取り込みたいって思ったって言ってた。

 こわかった。
 気持ち悪いと思ってしまった。

 ハミューに、なにも答えることができなかった。



「……バッカじゃないの、あたし」

 これじゃあいつらと一緒じゃない。

「謝んなきゃ……」

 一週間後。
 ティルトはそう言った。

 いつもなら一週間くらい会わないことだってそんなにめずらしくなんかないのに。
 今は、いつまで待っても訪れない果てしない未来のことのように思えた。

「早く会いたいよ、ハミュー……」

 言えなかった「ごめんね」を、早く言いたくて。

  • 最終更新:2015-09-15 01:09:05