チアキst0「身の程知らず」

瑞凪  遥 「でも大事な人が危険な時・・・やっぱり自分の力でなんとかしないと・・・」
  チアキ「なんとかってどうするつもりなんだ?」
瑞凪  遥 「そんなんきまってます・・・全部倒せる力があればどんな危険からも守れるやないですかっ」
ミリエッタ「全部倒す、って…幾らなんでも無茶ですよ~…」



      アークスロビーで珍しい顔を見つけて。
      少し立ち話をしていたら大規模作戦のアナウンスが流れた。

      それに参加したあとのキャンプシップで。
      もっと強くなりたい、自分の弱さに納得できないという遥の話を聞いた。



      でも、その考えは――



  チアキ「身の程を知れ、遥」

      思わず、語気が荒くなった。
      遥の思考は、俺が嫌う、俺が憎んだ男のものと一緒だったから。


      敵は、人の成長を待たない。
      最悪の事態……自分の力など風の前の塵に等しいような、とてつもなく巨大な力を前にしたとき、いったい何ができるのか。

      もしも、大事な人が……かすみが、身動きが取れない状況にいて。
      そこに、敵の攻撃が飛んで、かすみを退避させるのが間に合わない位置にいたら。
      その射線上にこの身を投げ出さない自信は、実のところ、俺にだってない。

      でも、もしそこで俺が死んでしまったら?

      俺が大事に想っている人は、俺を大事に想っている人。
      同じように考えるだろうし、同じように行動するだろう。

      かすみが俺を守ろうとして死んだら、俺は耐えられずに命を絶つかもしれない。

      それじゃ、意味がない。
      でも、だからといって見殺しにするなど論外だ。



      結局、答えは見つかっていない。
      見つかってはいないが。



      力さえあれば解決できることだとは、微塵も思えなかった。
      それも、仲間を頼ることなく、自分一人の力で、なんて。

      ミリエッタがまだ研修生だったころ、ミリエッタの両親が住むシップがダーカーの襲撃を受けたことがあったそうだ。
      救援に向かったはいいが、【巨躯】の気配に当てられ、動けなくなり。
      でも一緒に出撃したティルトの励ましで恐怖心にも打ち勝つことができた、と。



瑞凪  遥 「でも・・・そんなんあったら傍でずっとおらなって・・・おもわへん? 心配にならへん??」
ミリエッタ「あ、えと…確かに、また同じようなことがあったら…って思うと、心配ではありますけど…
      でも、その時は…他のたくさんのアークスの人達も、私の故郷の艦の救援に駆けつけてくれてましたし…
      「何かあったら、ちゃんと皆が助けてくれるんだ」って…変な話ですけど、逆に安心しちゃった、かな…?





      足りない力は、他人から借りることができる。
      あの男は、なぜそんなこともわからなかったのか。

      歴史の教科書に載るでもない、ご近所限定の、規模の小さな『英雄』。
      遥が、身の程知らずなあの男のようにだけはならないことを願って。

  • 最終更新:2015-10-26 23:26:38