かすみst4-ex2「名前」

「ん? 人数が少ない・・・?」

チームルームでチアキが一人呟く。


「あ・・・そうみたいです・・・別に9人と決まってるわけでは無いそうです。
 ・・・おそらく、入るような人がいないのかと」

横に座っている仮面をかぶった少女がぼそぼそっと喋る。


今、チームルームではチアキが彼女に頼んでいた情報について
聞かせて貰っているところであった。

・・・物陰には、何人か人がいながらも。

「その、代が切り替わった時期とかは書かれてたか?」
チアキが訪ねる。

「う・・・それは・・・ただ、残星丸は私のお爺様ですので・・・新しくても20年近く前かと思います」
「残香丸おじさまは・・・深淵にいたまま亡くなっているので・・・8年前あたりのメンバーだと思いますが・・・」


「かすみさんの記憶を聞く限りでは、彼女は「深淵」にいた、と考えるのが自然かとは思う」
「記憶・・・の中で「深淵にいた」と仰っていたんですか?」

少女の問いに

「いや、言ってはいない・・・ただ、出る名前出る名前、どれもこれも「深淵」のものばかりだ」
チアキはそう答える。

「俺が直接聞いたのが、依林、ヘルズクロウ、リヒャエル、残香丸
 イオリが聞いたというのが、ヒエロニムス、からくり丸
これだけ揃ってれば、な・・・」

立て続けに喋る。

「あとは、死神、惨殺丸、王牙・・・だったな、かすみさんの口から聞いてない名前は」
「ただ・・・死神は今も「深淵」メンバーだから、かすみさんと同一ではないな」


「・・・そういえば・・・かすみさん、雪と声が似ててよく間違われると言ってたな」

「え?そ、そうなんですか・・・?」
雪と呼ばれた少女がはっとする。
「かすみさんが闇縫霞さんと同一人物であるなら、下手をすると、雪の実の姉にあたる可能性もある」
ぽつり呟くチアキ。それに驚く雪。

「え?わわ・・・!?そ、そんなこと・・・あるんでしょうか?」

「いや、あくまで可能性の話として・・・」

続けてチアキは以下のようなことを語り出す。

闇縫は3つ、「闇縫」名を冠した分家が「あった」
12年前、分二闇縫・・・分家のひとつが、全員亡くなり断絶した。
おまけに、闇縫霞さんのことを聞くのは、家の中ではご法度。
おそらく、家を断絶させたのが「かすみ」でその「掟破り」により、彼女は一族を追放。
その後、「深淵」に所属。

「少し無理があるか」
立て続けに語った為、息を整えるようにチアキが喋る。

「・・・そういえば」
今度は雪が語り出す。

私達、闇縫一族は・・・仕事用の名前をもらうのですが、
 その名前は代々・・・使い回されることがよくあります。
 ですけど・・・その「使い回しを禁止する」名前があります。

 その「もう使い回してはいけない名前」のひとつが「惨殺丸」です。

 その理由は・・・お婆さまに昔聞いたのですが・・・
 ずっとずっと昔に・・・この名前をもらった人が闇縫家にいたんですが・・・
 その人は・・・私の一族ですら悩ませるほどの残虐な殺し方をした方だったそうで・・・
 ・・・最後は自分の快楽のまま、人を殺す殺人鬼になってしまい・・・
 一族の手によって、やむなく手を掛けられたそうです・・・


「な、なので・・・この名前を使う人は、私のお家、闇縫家にはいないはずです・・・。
 それほど・・・忌み嫌われてる名前です・・・。
 それを分かってて名乗るだなんて・・・
 その・・・私が言っては違うのかもしれませんが・・・「人でなし」かも・・・知れません・・・」
言った瞬間、すぐに雪はチアキの方を見る。

「す、すみません・・・あまり考えないで言ってしまって・・・その・・・」

「いや、気遣いは不要だ。何を知ろうとも、俺はかすみさんのことを信じてるしな」
チアキがはっきりと言い切る。

「あの・・・惨殺丸のお話は、昔話のようなものなので・・・わ、し、信じてる・・・?」
庇おうとした雪が逆にあっけにとられる。

「彼女の過去が、さっき話したとおりであったとしても、今のかすみさんの優しさがなくなるわけじゃない」
それを聞いて、物陰にいたルリがこっそり微笑む。

「ただ・・・この推測通りなら、過去を取り戻せば大きなショックを受けるだろうな」
「そう、ですね・・・。分家とはいえ、同族を全員手に掛けて・・・名乗った名前が
 一族で忌み嫌われていた「惨殺丸」という名前なんて。
 ・・・わ、私も聞いててショック・・・かも・・・です・・・」

二人の心に暗い何かが立ちこめていた。

「あ・・・・えっと・・・私の知ってることは以上です・・・」
振り切るように声を出す雪。

「ああ、ありがとう」
チアキはそう返事をした。



そして、その時居合わせたラッピーの推理。

 「俺・・・いやラッピーとしてはこっちを推したいのだが・・・
  殺害された一族側に原因があったとは考えられないか?
  例えば本家と分家のいざこざだったりな?
  そう言った事情があるからこそ、本家の人間が話そうとしなかった、と言うのも考えられるのではなかろうか?
  まあ、ラッピーの推論だからアテにはならない。

  ただ、一つの情報から判断しないほうが良い。
  情報を流す側は必ずと言っても良いほど自分の都合の良い情報を流す。
  都合の悪い部分を覆い隠す為にね



中の人より
そういえば、かすみst4-2「斬ったモノ」にて、葉月さんが「かすみ」と「残雪丸」を間違えたのを
勝手に伏線にさせていただきました・・・もうオチがバレバレな予感(汗)
もし、わざとだったとしたら・・・葉月さん策士です。

  • 最終更新:2015-11-01 10:51:05