かすみst2-1「仲間と一緒」

ある仕事終わりのあと、キャンプシップ内で話していたときのこと。

「にしても・・・今回もみんなには支援されっぱなしだったな~、ありがとな」
ロウフル君がそう言った。確かに今回の任務はかなりチームワーク良く動けた気がする。

「ふふ、私は支援が仕事みたいなものだから・・・ね?」
私はそう答える。

「私も支援される側でしたね、ありがとうございますー」
「私が後ろで支援に専念できるのは、前衛張ってくれる方々のおかげですから~」
イオリちゃん、ミリエッタちゃんも続く。みんな感じたことは一緒なようで
仲間みたいですこし嬉しかった。

「やっぱ、仲間と任務いくのはいいもんだな!」
ロウフル君が言う。
瞬間、私ははっとする。
前にも言われたこの言葉が、私の記憶を呼び覚ます。



「やっぱり仲間と仕事をするのは良いね」
仮面をかぶった小柄な少年が駆けながら喋る。私はそれを横目で見ている。
私はこの子より前を走っていた。森の中・・・のようだった。

「よく言うぜ、ヒエロニムス。いつもいないのはお前じゃないか」
一緒に駆けていた大柄なキャストがその言葉に返す。
駆けると言っても実際には脚を動かさずに、推力によるホバー移動を行っていた。

「だって、僕は忙しいんだよ?」
ヒエロニムスと呼ばれた少年、声の高さから少女かもしれない、があっけらかんとした口調で言い返した。
そうだ、ヒエロニムス・・・そういう名前だった。私はこの子を知っている。

「まるで俺達が暇みたいな言い方だな」
キャストは愉快そうに答えた。
「おっと、ごめんよ。からくり丸。そんなつもりじゃなかったんたけど」
・・・からくり丸。そうだ、そんな名前の人がいた。


「・・・仕事中・・・お喋りするな・・・」
私が短く答えた。そうだこの後・・・。

「もう、かすみは真面目だなー」
特に気にしていないようにヒエロニムスは答えた。
私は名前をばらされたのだ。それが印象的で覚えてた・・・ということは「かすみ」は本名?
それより・・・私は別の名前を名乗っていたの?

私は間髪入れずに言い返す。
「・・・本名・・・言うな・・・」


「ありゃ?ごめんごめん。ついうっかり・・・」
すこしヒエロニムスの声のトーンが落ちた。

「ほう、本名はかすみって言うのか」
からくり丸がそう言うと、私は彼をきっと睨んだ。

「何、良いじゃないか。言いふらすようなことはしないさ。誰かのようにな?」
「う・・・ごめんなさーい」
ヒエロニムスはばつが悪そうに謝る。

「ちなみに俺の本名は、機久蔵だ。これであいこだな」

「あ、僕もヒエロニムスが本名だよー」
「お前の言うことなど、あてになるか」
からくり丸はまたも愉快そうに言った。


・・・知ってる、この人達を知ってる。
でもどこで・・・誰なの?

「どうしたのですか?」
イオリちゃんが私にそう聞いてきた。記憶はさらに呼び起こされる。



「どうしたのですか?」

今までとはまったく別の方向から声がする。
そこには黒ずくめの男がいた。丁寧な口調で話す。
彼もまた一緒に走っていた。同じ方向に・・・どうやら同じ場所を目指しているようだった。

「どうもしてない・・・仕事中は、喋らないようにしてるだけ・・・」

私はまた冷たく答えた。



思い出せたのはここまでだった、私がここまで思い出したことを三人に伝える。

すると、イオリちゃんとミリエッタちゃんが言った
「初対面の相手とお仕事をする、というのは、アークスなら珍しいことではないですけど・・・」
「でも、名前をばらされた、ってなんか変ですよね。一緒にお仕事するなら、名前くらい普通は名乗るものでは…」
これがなぜか気にかかる・・・本当に仲間だったのかな?

さらにイオリちゃんの言ったこれも気にかかってる。
「その前にヒエロニムスさん? が言った、「仲間」という言葉がちょっとおかしな気がしますねー」
・・・ヒエロニムス。この前の夢にも出てきた彼・・・私は彼が好きだっただろうか?


とりあえず、思い出したことは、
一緒にいた人の名前が
「ヒエロニムス」「からくり丸(本名は機久蔵というらしい)」と、黒ずくめの男(名前は不明)
だったこと。

そして、私は別の名前を名乗っていたらしいということと、かなり冷たい人だったみたい・・・ということ。

  • 最終更新:2015-11-01 10:41:19

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