ロウフルst6-a 彼方にいる隣人

・・・・・


カタナを自らの胸に突き立て、止まれない自分を無理矢理止めようとしている
ユリアのカタナを弾き飛ばす。

だが、カタナを取り上げただけでは彼女は止まらなかった。

このままだと仲間を失う、それだけはなにがあっても阻止する。その一心で行動を起こした。

手刀を彼女の首筋に落とし、意識を刈り取る。

意識を失う彼女を見て、俺は何をしたのか理解した。

守るべきはずの仲間に手を出したという事実を、理解してしまった。

それを理解した瞬間、目の前が真っ暗になった・・・



・・・・・



その日、不思議な夢を見た

なにもない真っ白な空間が目の前に広がっていた。

・・・いや、なにもないというわけではなかった、何故なら・・・

ロウフル「初めまして、たな・・・グリント」

グリント「ロウフル・・・さん?」

そこには、ずっと前に行ったビデオレターによる交換日記に写っていた
ロウフルさんの姿があった。

しかし、あの時とは大きな違いがあった。ビデオレターで見たロウフルさんは
見ているこっちまで元気になるほど、活発で明るい印象があった。

だが今のロウフルさんは、憂いをおびた悲しい目をしていた。

ロウフル「・・・あれからどうなったか、グリントは見たか?」

グリント「はい、ひとまずは和解・・・といったところですね」

ロウフル「そうか、二人とも・・・良かった、本当に、良かったっ」

彼女達の無事を伝えた瞬間、ロウフルさんは崩れ落ち、安堵の表情を見せた。
まるで、自分が助け出されたような、そんな表情をしていた。



グリント「・・・ロウフルさん、戻りましょう、皆さんも、待っているはずです」

ロウフル「・・・俺は、戻らない。俺は守るべき仲間に手を出してしまった、
傷つけた・・・だから、戻る資格なんて、ない」

ロウフル「それに・・・だ、本来この身体はグリント、お前のものだ。
返すのにはいい機会かもな」

グリント「・・・」

ロウフル「さぁ行け、グリント・・・みんなには、よろしく伝えておいてくれ」

そう言って、ロウフルさんは踵を返し、その場から立ち去ろうとしている。


(グリントの称号が「共に歩むもの」のためルート分岐)


グリント「・・・間違ってる、間違ってますよ!そんなの!」

ここでロウフルさんを止めないと取り返しのつかないことになる、直感がそう告げた。

ロウフル「いいや間違ってない!仲間に手を出したのは事実だ!
ユリアを止める方法はいくらでもあったはずなのに!」

グリント「でも!その行動があったからこそ二人とも無事に帰還できたんです!
ユリアさんも、止めてくれたことに感謝していました!」

ロウフル「そうだとしても、俺は・・・」

グリント「それに、あなたのことを必要としている人がいるんですよ!
他の誰でもないあなたを!」

ロウフルさんの姿を求め、何処かに消えてしまいそうなシャルティエさんの姿が脳裏に浮かぶ。それを思い出すだけで、自分ではなにもできない気持ちがこみ上げて来る。

グリント「あなたはっ!仲間を傷つけることを恐れて仲間を失う気か!
求める声を無視してでも消えるのが正しいというのか!答えろ!ロウフル!」

ロウフル「っ!」

それを聞いた瞬間、ロウフルさんはビクッと身体を震わせた。そして・・・

ロウフル「そうだ、そうだったな・・・俺は
もう仲間を無くさないために色々やってきたんだったな
いままでも、そしてこれからも、な」

俺の想いが通じたのか、ロウフルさんがこちらを向いた、なにかを決意した、そんな眼差しをして。

ロウフル「グリント・・・すまないが、もう少し居候させてくれ
俺には、まだやるべきことがあるから」

グリント「ロウフルさん・・・わかりました、行きましょう」

『仲間を救うために!』

  • 最終更新:2015-09-15 23:50:52

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